【難治性ニキビ治療薬】イソトレチノインを導入しました

こんにちは。
札幌市厚別区新札幌の皮膚科・美容皮膚科「さとこ皮膚科・美容クリニック」です。
このたび、難治性・重症ニキビ治療薬であるイソトレチノインを導入いたしました。内服の治療薬です。
イソトレチノインには様々な作用があり、皮脂腺の縮小、毛穴詰まり(角化異常)改善、抗炎症効果が認められます。
イソトレチノインは海外では難治性・重症ニキビの第一選択薬となっていますが、日本では厚生労働省の認可が下りていないため自費治療となります。
既存の保険治療で改善が認められない方、アレルギーなどの理由で保険の治療薬が使えない方、ニキビの強いしこりや凹凸ができてしまう方に良い適応です。
実は、イソトレチノインがいいということは以前から知っていて、導入しようかずっと検討していたのです。
なかなか決めきれなかったのは、イソトレチノインには副作用もあるからです。
特に、避妊に関しては絶対で、内服中および内服終了後1か月は避妊を徹底していただく必要があります。
内服中、いかなる期間・容量であっても胎児に奇形を及ぼす可能性が非常に高いからです。
(以前は内服終了後6ヶ月と言われていましたが、最近では内服終了後1か月でよいとされています。)
ニキビに悩み、自費診療でもよいので積極的な治療を受けたいと望まれる方は20~30代が多いです。
ピルとの併用は可能なので女性であれば対策をすることもできますが、ピルが飲めない方もいます。
妊娠しないようにご本人に重々気を付けていただかなくてはなりませんが、「絶対に妊娠してはいけない治療薬」を年齢の若い患者様に処方することに個人的な葛藤があった、というのが正直なところです。
一方で、保険診療でどんなに手を尽くしても改善しない方が一定数いるのも事実で、治らずにこじれていくうちにニキビ跡となってしまうケースも多く見てきました。
当院は自費診療としてニキビ跡のレーザー治療なども行っておりますが、時間と費用がかかるうえに完全に元に戻すことは難しいです。
イソトレチノインも薬剤としては高額ですが、その後のニキビ跡治療を考えると、難治なニキビを早く治して極力ニキビ跡にしないことの方が大事だと考えるようになりました。
このような私(院長)の様々な思いの結論として、今回の導入に至っています。
当院は保険医療機関であり、皮膚科専門医の立場からみても、ニキビはまず保険診療で治すべきという考えは変わりません。
イソトレチノインは以下のような副作用もある薬剤ですので、当院では保険診療で改善しない場合にのみ処方します。また、適応があるか診察のうえ判断いたします。
【診察・採血・処方すべて自費診療としての対応となります。ご希望の方は、WEBではなくお電話(011-807-0178)にて診察をご予約ください。】
初診料:3,300円 再診料:1,100円
定期採血:1,650円(イソトレチノイン内服前の採血は、3か月以内の健診などの結果をお持ちいただければ代用できる可能性がありますのでご相談ください。)
他科も含めた既往歴を確認するため、お薬手帳をご持参ください。
【イソトレチノイン(アクネトレント)】
※商品名としてはアキュテイン・ロアキュタン・イソトロインなどありますが効果は同じです。当院では、治療費用を抑えるためにジェネリック製剤であるアクネトレントを採用しています。
10mg 30日分 11,000円
20mg 30日分 16,500円
1箱30日分での販売です。
内服量は20mgを1日1回で始めることが一般的ですが、体重の多い方は増量することがあります。重症な場合は最初から40mg/日で内服します。(10mg錠は、体重換算における微調整で処方します。)
イソトレチノインは脂に溶けやすい性質がありますので、食後に内服する方が効果が高いです。時間は問いません。
平均的には5-6か月間内服して終了します。途中で止めてしまうと十分な効果が得られませんので、やむを得ない場合以外は中断しないようにしてください。
内服終了後も長期間効果が持続しますが、人によっては2か月以上の休薬後に2クール目を検討します。内服終了後、治療前の状態まで戻ることは稀です。
海外では12歳から内服可能とされていますが、副作用のある薬ですので保護者の方と相談して内服の可否を決定します。
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【副作用】
胎児への催奇形性がありますので、内服中と内服終了後1か月間は避妊を徹底してください。授乳や献血もできません。 ※当院ではピル処方を行っておりません。
女性は、妊娠していないことを確認してから内服を開始してください。(妊娠検査薬を使うか、次の正常な月経が始まって2-3日経ってから内服を開始してください。)
授乳中の方も服用できません。
唇や肌が乾燥しますので、保湿で対応してください。乾燥がひどい場合はイソトレチノインを1日おきの内服とします。
肝機能障害・脂質代謝障害が出ることがありますので、定期的に採血します。
最初の数週間はニキビが悪化することがありますが、次第に改善してきますので自己判断で中止しないようにしてください。
一時的に抜け毛が増えることがあります。
頭痛が起きることがあり、症状がひどければ内服中止となります。
うつ病・うつ気質の方は内服できません。
テトラサイクリン系抗生剤(ビブラマイシン・ミノマイシンなど)ステロイド、フェニトインとの内服併用はできません。
肌が敏感になるため、日焼けに注意してください。
服用を忘れても、2回分をまとめて飲まないようにしてください。次の服用時に通常量を内服します。
※重要なもののみ上記に記載しております。その他の注意事項は、同意書でご確認ください。
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イソトレチノイン処方は同意書が必要となります。未成年の方は保護者の同意が必要です。
採血結果をお持ちでない方は、初診時に採血して約1週間後に結果が出てから処方します。
治療をご希望の方は自費診療(美容皮膚科)のご予約をお取りください。(イソトレチノインにつきましては、WEB予約ではなくお電話にてご予約ください。)
イソトレチノインという選択肢が増えたことで、難治性のニキビが改善できればと思います。
最後に、イソトレチノインを個人輸入している方がいるようですが、厚生労働省から注意喚起が出ております。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html
イソトレチノインは、海外でも医師の処方箋がないと使えない薬剤です。インターネットで出回っている薬剤の品質は担保できません。
当院ではしかるべき手続きに基づいて輸入を行っております。

札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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