夏は皮膚病の多い季節です。
外来でよく聞かれるご質問についてまとめました。
Q1 ちっとも痒くないんですけど、水虫ですか?
水虫って痒くないことが多いです。
痒くなった時には菌が結構増えています。
痒さで水虫を判断するのは危険なんですよね。
ちなみに、市販薬を塗ったけど全然良くならない、悪化した場合もあると思います。
この場合、塗り方が良くないか診断が間違っているか(そもそも水虫でない)、または薬にかぶれている可能性があります。
このあたりは皮膚科専門医でないと見極めが難しいです。
診察時に塗り方のポイントをお伝えしますし、必要に応じて検査や処方を行いますのでご相談下さいね。
再発を予防するコツもご説明しています。
Q2 いつも着けていて大丈夫だったアクセサリー、最近痒いんですけど…
汗をかくと、表面の金属が溶け出しやすくなります。
冬は大丈夫でも、夏に痒くなることはよくあります。
純度が低くメッキを使用したものに多いです。
ピアスは特にトラブルを起こしやすいのでご注意下さい。
意外なところでは、時計のベルトやバッグなどの革製品も原因になります。
光沢を出す(なめす)ためにクロムという金属が使われるからですね。
見た目が金属じゃなくても要注意です。
Q3 水イボって取った方がいいんでしょうか?
「小児科で取らなくていいって言われた」など診療科で対応に差が出る病気です。
水イボ自体は6ヶ月〜3年くらいで自然に消えると言われていますが、期間に幅があるため一概に待てばいいとは言えないです。
治療しないと水遊びに参加できない、プール教室から治療して来てと言われたなど、社会的な理由で取らなければならないこともあります。
お子さんの水イボは麻酔のテープを貼って治療しますが、嫌がってどうしても取れない場合、水イボ部分を防水テープで覆ってプールに入る奥の手も。
タオルやビート板を共有しないでねとお話ししますが、お子さん達のプールでのはしゃぎ振りを見ると難しい気もしますよね^^;
水イボの潜伏期間は50日くらいと言われていますので、プールのシーズンが終わった頃に出てくることもあります。
水いぼに関しては、「水いぼクリーム」を採用しました。(当院の保険診療で診察のうえ、水いぼと判断された場合に購入いただけます。)
即効性は皮膚科の処置にかないませんが、数ヶ月塗って水いぼを減らしていく方法です。
水いぼを取る処置はお子さんにとって非常に辛く、暴れたり泣き叫んだりすることがほとんどです。
動きが激しいと十分に取り切れず、何度もいらしていただくことになります。
そして、私たちスタッフもお子さんを押さえながら「○○ちゃん頑張ろうね!!」「もう少しだよ!」など泣き叫ぶ声に対抗して声を張り上げながら励まして処置します。
お子さんがワンワン泣く中みんながひしめき合って大声を上げるシチュエーションは飛沫感染の意味からも好ましくありませんので、取るのが難しそうなお子さんで保護者の方のご希望があれば水いぼクリームで対処しようと考えて導入しました。
強力な抗菌作用のある銀イオンを配合したクリームで、水いぼ周辺に1日2回塗っていただきます。
治るまでは平均2-3か月塗っていただく必要があるため、「プール教室に行くために治療したい」という場合には向きませんが、お急ぎでないお子さんには有効な方法だと思います。
1本15g 2,200円(税込み)です。正しく使っていただくためにも、当院での診察で水いぼと診断された患者様に限らせていただきますのでご了承ください。
Q4 虫刺され、原因の虫ってわかりますか?
毛虫のようにトゲトゲがある虫、蚊やブユのように刺す虫、触ると汁が付いて痒くなる虫など種類はいろいろあります。
腫れ方のざっくりとした傾向はありますが、刺されている現場を押さえない限り、原因になった虫の種類までは言い当てられないんです…
もちろん、発疹の分布から「それはノミかも」「ペットから移ったかも」などわかることもありますが。
どの虫であっても治療は同じですが、足首を刺された場合は腫れることが多いです。
蚊に刺されていつも水ぶくれになる、熱が出る、皮膚が掘れた傷になる場合は蚊アレルギーかもしれませんのでご相談下さい。
虫刺されの場所に消毒薬を塗るのは止めましょう。
かぶれて更に状態をこじらせるリスクが高くなります。
余談ですが、虫といっても普通の塗り薬が効かない病気もあります。
介護関係の方、外来で介護の仕事だと申告して下さいね。治療法が全く違います。
Q&Aにまとめてみましたが、「私も聞きたかった!」というご質問、ありましたか?
ご参考になさって下さいね。
札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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