皮膚科から見た、セルフヘアカラー・パーマの注意点
コロナウィルスの影響で、行きつけの美容室が休業になっていることもありますよね。
仕方なく、自分でヘアカラー・パーマをする女性も多いかと思います。
慣れない操作で皮膚トラブルを起こさないための注意点をいくつかまとめました。
(あくまでも皮膚科的な視点なので、仕上がりなど美容師さんからの視点とは違うことをご理解下さい。)
①かぶれが心配な方は、セルフパッチテストを
ヘアカラーには「ジアミン」という成分が入っていて、かぶれの原因になります。パラフェニレンジアミン(PPD)などが代表的です。
普段と違うヘアカラーを使う時は、パッチテストをお勧めします。
皮膚科でもパッチテストはできますが、2日後3日後7日後と判定のため受診しなければなりません。
このような状況下で頻回の受診を躊躇う方もいらっしゃると思いますが、セルフパッチテストでは簡易的ではあるものの使用の可否を判断できます。
ジアミンにかぶれる方は、ハイドロキノン(美容皮膚科で処方されるシミを薄くするクリームの成分)にもかぶれることがありますので、以前ハイドロキノンで赤くなってしまったという方は特に注意が必要です。
カラーリングをする48時間前に、腕などにカラーリング剤を付けます。
この時、塗る場所の皮膚が乾燥していると刺激反応が出やすくなりますので、塗る場所選びにもご注意下さい。
(カラーリング剤の箱にパッチテストの方法が書いてあるものが増えてきました。薬剤の割合などはパッケージの指示に従って下さいね。)
オープンパッチテストといって、密封しない状態でカラーリング剤を乾燥させて判定していきます。
塗って30分後(じんましんなどの反応を見る)と48時間後(接触皮膚炎=かぶれの反応を見る)にチェックするよう指示している製品が多いです。
これで赤み、痒み、腫れ、水ぶくれなどができた場合、その製品は使えません。
テスト部位の反応が強くて症状が強い時は、皮膚科で塗り薬や飲み薬を処方します。
(詳しい成分ごとのパッチテストは皮膚科でも行えます。)
②耳の後ろ、生え際、うなじをしっかり洗い流す
ヘアカラーのすすぎ残しによる皮膚炎は、耳の後ろや額の生え際、うなじに多いです。
そして髪の長い方では背中に出ることも。
ヘアカラー後はしっかりすすぐこと、そして髪を洗ったあとに体を洗うようにすると、体の皮膚炎を減らせます。
手もしっかりすすぎましょう。
指の間に染料が残って皮膚炎を起こすこともあります。
顔のすすぎが不十分だと、まぶたがひどく腫れてしまうケースもありますのでご注意下さい。
③ピアスの穴が安定していない人は耳キャップを
ピアスの穴開けをして間もない方、ピアスホールの調子が悪い方は、染料が入り込まないようにカバーする必要があります。
ピアスホールが落ち着いていない場合、傷口に染料が触れて皮膚炎を起こすことがあります。
できればパーマやカラーリングは避けた方が良いのですが、どうしてもという場合、ドラッグストアにプラスチックの耳カバーが売っていますので上手に利用しましょう。
ピアス関連のトラブルは、こちらの記事もご覧下さい↓
④湿疹、乾燥肌がひどい時はカラーリングを避ける
皮膚炎がひどい場合や乾燥肌が強い場合は皮膚のバリアが乱れており、染料の刺激を強く感じやすいです。
いつも使っているから大丈夫と無理して使っていると、アレルギー性のかぶれを起こすこともあります。
アレルギーの場合、使うごとに症状が悪化していくため注意が必要です。
じゅくじゅくと汁が出るような皮膚炎の時はパーマやカラーリングを避けましょう。
⑤できれば生理前を避ける
生理前にむくむ、肌荒れすると感じる方はいらっしゃいませんか?
女性ホルモンの影響で、生理前は肌が敏感になります。
新しい化粧品やヘアカラーを試すのは避けた方が安心です。
こちらの記事もご参考になさって下さい↓
スキンケア・化粧品の替え時はいつ?女性ホルモンと肌の調子の関係
自宅でもヘアカラーはできますが、慣れていないとコツがつかめず皮膚炎を起こすリスクが高くなります。
上記に挙げたことを参考になさって下さいね。
札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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