こんな小顔・たるみマッサージは厳禁!効果ないばかりかシミやたるみ加速の原因に

小顔になりたくて、たるみを改善したくて、日々マッサージを頑張っている女性も多いです。
多くの方法は「リンパの流れを良くしてむくみを取る」ことをコンセプトにしています。
しかし、間違った方法でケアをすると効果がないばかりか、シミやたるみの原因になってしまいます。
小顔・たるみケアで気を付けたい間違いについてまとめました。
オイルが少なく、強い力でゴシゴシ擦る
摩擦は皮膚の天敵です。
擦ることで「肝斑(かんぱん)」と呼ばれるモヤッとくすんだタイプのシミが増えてしまいます。
むくみを取る「小顔ローラー」も、顎から耳のフェイスラインにかけて肝斑を増やしてしまう原因になってしまいます。
目の周りは特に皮膚が薄く、擦ることによる色素沈着が出やすい部分です。
クマに見える原因にもなりますので、強い力は厳禁です。
メイク落としでマッサージする
同じオイルだからと、オイルクレンジングでマッサージを念入りにするのはNGです。
オイルクレンジングには、メイクを落とすために強い界面活性剤(水と油をなじませる)が入っていることが多く、皮膚の保湿成分を大量に奪ってしまう原因にもなります。
普段使いをお勧めしておりませんが、それを長時間肌につけてマッサージすると皮膚への負担が大きく、乾燥肌を招いてしまいます。
また、メイクの汚れを肌に擦り付けることでニキビの原因にもなります。
脂肪を燃焼させようとして、強い力で噛みまくる
顎周りに脂肪がつくと顔が大きくなることは事実です。
しかし、脂肪を燃焼させるために筋肉をたくさん使おうとして、硬いものを噛みまくるのはNGです。
エラの部分にある「咬筋(こうきん)」は、噛めば噛むほど、食いしばるほど、発達して大きくなります。
これが顔を大きく見せてしまう原因にもなっているのです。
また、どちらかの側だけで噛むと咬筋の発達具合に差が出て、輪郭の左右差が出てきてしまいます。
(こうした咬筋の発達に対してはボトックス注射による治療が可能であり、小顔のみならず歯ぎしりや顎関節症の治療にも使われています。)
40代以降の輪郭の変化は、たるみによることも
顔が大きく見えてしまう原因は、リンパの流れや脂肪が増えることだけではありません。
年齢に伴うたるみも影響しているのです。
たるみの原因は、骨が痩せてくることと関係しています。
具体的には、頭蓋骨の目や鼻の穴が大きくなったり、顎の骨が削れてきたり、こめかみが凹んできたりします。
皮膚や脂肪や筋肉は、靭帯(じんたい:スジのこと)によって骨と繋がれて支えられていますが、骨が痩せる時に靭帯が緩んでしまい、重力とともに下へずり落ちてしまうのです。
これによって、輪郭が凸凹し、アゴ周りのフェイスラインが波打つようになり、もともと卵型だった顔が四角形に近づいていきます。
(アラガン社 資料より引用)
こうなると、たるみの治療が必要になってくるのですが、温泉などで他の女性のスキンケアを見ていますと、重力に逆らおうとするばかりに皮膚を強い力でぐいぐい引き上げてみたり、化粧水でマッサージしたり、引き締めるためなのか手やコットンで叩き込んでいる姿を見かけます。
強いマッサージをすると、靭帯をさらに緩めてしまいます。
皮膚の深い部分の変化が大きいので、表面から引っ張る、叩くだけでは効果がないんですね。
ローラーや美顔器も、力を入れてマッサージすると肝斑を増やす原因になってしまいます。
シートマスクを長時間貼りっぱなしにする、またはそのまま寝てしまう
皮膚に潤いを与えてハリを出そうと、シートマスクを付けっぱなしにしていませんか?
化粧品の浸透する範囲は角質層までと決まっており、その厚さはラップ1枚分です。
長時間付けていても奥に入っていくわけではありません。
そして、肌表面についた水分が蒸発する時に肌本来の水分も一緒に奪っていくため、かえって乾燥します。
保湿のためにあえてシートマスクを使う必要はありませんが、どうしても使いたいなら短時間にとどめ、はがした後はクリームタイプのものでしっかり保湿しましょう。
残念ながら、小顔やたるみ対策としては大きな効果は望めません。
リラックスも兼ねたケアも、長期的に間違った習慣を続けていると逆効果になるばかりか、他の悩みを増やすことになるので注意が必要です。
日常の間違いやすい習慣、お気を付け下さいね。
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札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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