怒ってないのに「怒ってる?」と聞かれる理由

「私、怒ってないのに、『怒ってる?』って聞かれるんですよね」と相談されることがあります。
知らず知らずのうちに印象が悪くなってしまうと、損ですよね。
冒頭の写真の女性、乾杯しているはずなのにイマイチ楽しそうに見えず、ちょっと気難しい印象を持ったのではないでしょうか。
怒って見える理由には眉間と口元が関係しています。
①眉間のシワ
真顔の時にも眉間にシワが刻まれていると、怒った印象を持たれてしまいます。
これを予防するにはボトックスでシワが刻まれないように治療していくことが必要です。
すでに真顔でシワが刻まれている場合はヒアルロン酸などで埋め立てる治療が必要ですが、深く刻まれてしまうと治療の難易度が上がります。
また、治療後に眉毛の間が広がり過ぎてしまうことも。
シミは濃くなったら治療というイメージがありますが、シワは深く刻まれる前に予防もかねて治療することが大切です。
②口角が下がる
口の周りには、口角を上げる筋肉と下げる筋肉があります。
年齢とともに口角を下げる筋肉の力が強くなると、真顔の時にも怒った表情になってしまいます。
通常、意識的に口角を上げることはできますが、下げるのは難しいです(口をすぼめる必要があります)。
しかし、筋肉の力で下に引っ張られるようになると、真顔でも口角が下がってしまいます。
冒頭の女性が気難しく見えたのは、これが理由です。
改善するためには、下に引っ張る筋肉の力を弱めるためのボトックス治療が必要です。
そして、口元のたるみであるマリオネットラインも理由の1つです。
マリオネットラインとは、口角から顎にかけて斜めに入る溝のことです。
高齢になると、ここに食べ物や唾液が挟まって頑固な皮膚炎の原因になることも多いです。
マリオネットラインを浅くするにはヒアルロン酸などの注入が必要ですが、顔立ちによって治療法は異なってきます。
実は、眉間にシワを寄せる筋肉と口角を下げる筋肉は連動して動きやすいということが分かっています。
口角を上げながら(微笑みながら)眉間にシワを寄せるのは難しいのです。
多くの方は「顔を若々しく見せたい」と治療を希望されてきますが、よくよく聞いてみると「メイクでクマが隠せなくて疲れて見える」「怒って見える」などパッと見の印象がきっかけになることも多いようです。
そして、多くの方は治療の方法があることを知らず、時が過ぎて行ってしまいます。
シワやたるみは進行する前に治療を始めることで、5年後10年後が大きく変わってきます。
そして早く治療を始めた場合、1回に使う薬の量は少なくて済みます。
重力も時間も止めることはできないので、「気付けた時がいつなのか」が将来を決めますよね。
ボトックスやヒアルロン酸は針を刺す治療なので、「血をサラサラにする薬」を飲み始めると治療が難しくなる場合もあります。
病気があれこれ増えていく前に、メンテナンスを始めてみませんか?
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札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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