妊娠・産後にシミが濃くなる理由…ホルモンと栄養素が関係しています
お子さんが3人いるお友達数人から、こんなお話を聞きました。
「私、妊娠する度にシミが濃くなってる気がするー!!」
これ、とってもあるある!なお悩みだと思います。
妊娠すると、黄体ホルモン(プロゲステロン)という女性ホルモンが増加します。
この黄体ホルモンが、シミを作るメラノサイトを刺激してしまうことが知られています。
妊娠中に肝斑(かんぱん)が悪化した、という方もいらっしゃるかもしれません。
肝斑とはシミの一種で、主に頬の部分にもやもやとできることが多いです。
女性ホルモン、紫外線、ピル、擦り過ぎなどが原因として挙げられています。
女性ホルモンの影響で妊娠中にしみが悪化する、というのは割と有名な話なのでご存じの方も多いと思います。
もう1つ、あまり知られていないものの、知っておきたい原因がありますのでご紹介しますね。
鉄不足がシミを作り出す
女性は毎月生理が来るので鉄分が不足しがちです。
鉄分は体の中でどういう働きをするでしょう?
足りなくなると貧血になるのですが、それ以外にも鉄分はいろいろな働きをしているんです。
皮膚に関係する部分でいうと、
■コラーゲンの合成に必要(ビタミンCも必要です)
■カタラーゼ(シミを消す酵素)の構成成分
つまり、鉄分がないとカタラーゼが働かず、シミができやすい、ということですね。
私自身も妊婦さん雑誌をよく読みましたが、そんな内容は見たことがありませんでした。
この事実をご存じの方って非常に少ないのではないかと思います。
鉄分=貧血だけではないんですね。
妊娠すると、赤ちゃんが育つために鉄分が必要になるため、貧血になって鉄剤を処方される場合も多いです。
妊娠は体にとっての一大イベントですから、鉄分が皮膚まで回ってこないのは当然といえば当然です。
女性ホルモンと鉄分不足、両方の影響でシミができやすい状態にあったわけですね。
ただ、だからといって妊娠中に処方以上の鉄剤を飲めばいいわけではないです。
現実問題としては、シミよりも体のこと、赤ちゃんのことが最優先なので、そこは主治医の先生や栄養士さんの指示に従ってくださいね。
産後のシミを増やさないために、まずできることとは
■妊娠中はシミができやすい、という事実をしっかり認識する
■日焼け止めをこまめに塗って対策する
■擦らない←そもそも肝斑の原因になる
ですね。
妊娠中でなくても、鉄分が不足しがちな方は多いと思います。
生理で血液を失う以上に補わなければいけませんが、もともと貧血のある方は鉄分を皮膚のために使うまでに時間がかかります。
そしてコラーゲンがうまく作れないとなると、シワ・たるみにも影響してきます。
美容の治療では、真皮でのコラーゲン合成を促すような治療も行いますが、必要な栄養素が足りないとうまく行かないことがよくわかりますよね。
シミ・シワ対策というと「紫外線!!」と意識する方は多いのですが、食べ物も意識していきましょう。
よくある間違いですが…食べ物でコラーゲンを摂ったりコラーゲン入り化粧品を塗っても、直接肌のコラーゲンになるわけではありませんのでご注意下さい。
どんな栄養素に気を付けて何を食べたらよいかは、こちらをご覧下さいね。
札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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