夏もスキンケアを!乾燥肌は様々な皮膚病の原因に
乾燥肌というと冬の印象が強いですが、夏にも皮膚が乾燥している方、結構いらっしゃいます。
大人の場合、強いエアコンの効いた部屋に長時間いることで乾燥肌に悩む方も…
お子さんは、プールに入ったり外で遊んで頻繁にシャワーを浴びたりで肌が乾燥しやすくなります。
日焼けすることも乾燥肌に拍車をかけます。
「夏だから、肌が乾燥していてもスキンケアを頑張らなくて大丈夫だよね」と思っている方も多いのですが、実はここが落とし穴なのです。
乾燥肌が続くと皮膚のバリアが壊れっぱなしになります。
すると細菌やウイルスが住み着きやすくなるんですね。
そして、乾燥肌が痒くてかきむしることであっという間に広がってしまいます。
例えばとびひや水いぼ。
夏にお子さんがなりやすい2大皮膚感染症ですが、乾燥肌がベースになっていることが多いんです。
水いぼやとびひがあるとプールに入れない場合が多く、この時期に皮膚科を受診されるお子さんが多いのですが、私はただ処方して終わりにするのではなく、保護者の方にスキンケア指導をしています。
■夏の乾燥肌を放っておくと皮膚の感染症になりやすいので、夏でも保湿が必要
■お風呂ではナイロンタオルでゴシゴシこすってはいけない
■タオルを兄弟間で共有しない
(裸で皮膚が接触しない方がいいので、別々にシャワーに入れればベスト)
■絆創膏で保護している部分は貼りっぱなしにせず、1日1回シャワー(流れる水)でしっかり洗う
■爪を短く切る
■石けんをつけるのは、お尻、ワキ、足(足首より先)のみにする
■体を拭いたタオルは毎日取り換える(何日も連続で使用しない)
がポイントです。
夏に外で泥だらけになったりプールに行った日は全身に石けんを使って洗っても良いですが、汗をかかない冬は、部分的に石けんをつけて手で優しく洗えばOKです。
体の大部分は、シャワーや浴槽につかるだけで(お湯だけで)、汚れが取れます。
その他、虫刺されが痒くてかきむしったことでとびひになる場合もあり、「かかない」ことの大切さもお伝えするようにしています。
(と言ってもお子さんにはなかなか難しいので、痒み止めの飲み薬を出す理由としてご説明しています。)
ナイロンタオルでゴシゴシこすることで、皮膚の表面が削れて乾燥しやすくなりますし、皮膚に細かい傷がついて菌を広げやすくなります(胸や背中のニキビが悪化します)。
夏で湿度が高いお風呂場に干しっぱなしのナイロンタオル、雑菌が増えているため肌に菌をこすりつけているかも…
ほんのひと手間ですが、こうしたお話をすることで乾燥肌から他の皮膚病へ繋がりにくくなります。
大人の方でアトピー性皮膚炎を持っている方も同じです。
この時期、とびひになって治療することは決して珍しくありません。
夏の乾燥肌対策は軽視されがちですが、皮膚の感染症を予防するという意味もあるんです。
夏も洗いすぎには気を付けたいですね。
【全身石けん付きナイロンタオルでゴシゴシ+冬の熱いお湯の温度】は、乾燥肌へまっしぐらです。
高価な保湿クリーム以前に、入浴習慣が大切です。
そして夜はお風呂あがりに保湿剤を塗るのが良いとわかっていても、小さなお子さんがいる方はタイミングを逃してしまう場合も多いのではないでしょうか。
お風呂あがったら、おしっこする前にオムツつけて、風邪引いたら困るから髪乾かして服着させて…
これを何人かのお子さん同時にやっていたら、保湿剤塗っている場合じゃないと思います。
家の間取りによっては、脱衣所が寒い場合もありますし。
みんなにパジャマを着せてから、「あ!!保湿剤塗るの忘れてた、でもまた脱がせるの大変…歯磨きも残ってるし…はぁ」
数年前の我が家を見ているようです。
そこで、私が工夫した方法を1つご紹介しようと思います。
それは「お風呂場で塗る」です。
お風呂のドアのすぐ外に、バスタオルと保湿剤を置いておきます。
お風呂が終わってあがるとき、ドアをさっと開けて、バスタオルと保湿剤をお風呂場に持ち込みます。
体を洗う場所(浴槽の外)で体を拭きます。
保湿剤を塗って、お風呂場を出ます。←足の裏に塗ると滑るので、そこだけは後回しにしてくださいね。
あとは、オムツつけたり髪乾かしたり服着たり…いつもと同じです。
この方法のメリットは、
①温かい場所で保湿剤を塗れる
→裸のままいたら風邪引いちゃう、と焦らなくてもいい
②お子さんが途中でオシッコをしても慌てずに済む
→もう1回流せばいいだけ。保湿剤を塗っている間にオシッコが出ちゃって、床やタオルが汚れた…ということがありません
③みんなチョロチョロしない(笑)
→まだ終わってないのにあっち行かないでー、というシチュエーションがない
「お風呂で保湿剤」は実践して下さった患者様からも好評です。
夏の乾燥肌に気をつけて、家族みんなで皮膚病を予防して下さいね。
札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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