シワ・たるみの原因別改善法と、日常生活で気を付けたいこと

シワに悩む女性は多いと思いますが、一言でシワといっても種類がいくつかあります。
この記事では、代表的なシワについて、原因と治療をまとめていきます。
①小じわ
②表情ジワ
③表情ジワが固定したもの
④実はたるみの仲間(ほうれい線・目の下のクマなど)
① いわゆる「小じわ」
目の周りや口の周りで細かいシワが目立つという方、多いと思います。
これは皮膚の乾燥もありますし、年齢によって真皮のコラーゲンが減ってくることも原因です。
これには女性ホルモンのエストロゲンも関係しています。
更年期以降に肌のお悩みが増えてくるのは、そのためです。
小じわは、スキンケアで乾燥を改善させることで目立たなくなりますし、美容皮膚科でいえばケミカルピーリングやレーザーピーリングといった処置やトレチノイン(ビタミンAの仲間)という塗り薬が代表的です。
こういった美容治療は、真皮のコラーゲンを増やすことを主な目的にしています。
↑表皮のバリアを通過して真皮に届くレーザーの波長を選んで照射します。
他にも効果的な治療はあるのですが、今日の本題はそこではないのでまた改めて書きますね。
② 表情ジワ
表情によるシワで、額、眉間、目尻が代表的ですね。
顔をしかめた時、びっくりした時、笑った時にできるシワですね。
他にも笑った時に鼻すじにできるシワ、口をすぼめた時にできるシワなども対象です。
こういった表情に伴うシワは、表情を作る筋肉の動きが原因となっているので、筋肉の動きを抑えるボツリヌストキシン(商品名はボトックス®です)の注射が有効です。
表情を作る筋肉は皮膚とくっついているので、筋肉を使えば使うほど皮膚も一緒に動いて皮膚に折りたたみシワができ、表情ジワの原因となります。
表情筋エクササイズをすると皮膚が筋肉とともにしょっちゅう動かされ、表情ジワができやすくなるのでご注意下さい。
シワが固定化する前にボトックス®治療を受けるのがベストですが、乾燥した肌は弾力が落ちシワが刻まれやすいので、乾燥ケアは間接的に表情ジワの対策にもなります。
③ ②の表情ジワが固定してしまったシワ
年配の方の額や眉間に多いのですが、何も表情を作っていなくても、シワが刻まれている場合がありますよね。
男性の場合、眉間のシワは渋くダンディに見えるので、それが魅力という場合ももちろんありますが…
これは、筋肉の動きに伴って皮膚が折りたたまれ続けた結果、シワの溝が深くなり、固定化してしまった状態なんですね。
こうなると、ボトックス®注射だけでは厳しくて、ヒアルロン酸などで溝を埋める治療が必要になってきます。
シワが刻まれる前に治療を始めた方がいいですよ、という理由はココにあるんです。
シミはできてしまってから治療することが一般的ですが、表情ジワは気になり始めた時に治療を始めた方がいいんですよ。
④ ほうれい線など、実はたるみの仲間のシワ
シワというと真っ先に思い浮かぶほうれい線は、医学的にはたるみの仲間に入ります。
口角から下に刻まれるシワ(マリオネットライン)も、たるみの仲間です。
目の下の凸凹も、たるみのメカニズムが関係しています。
溝という意味では②と③のシワと見た目は似ていますが、治療方法が違うんですね。
たるみの原因には骨の変化など皮膚よりも深い部分が関係しています。
年齢とともに骨が痩せてくるからです。
具体的に見ていくと、目の穴が大きくなり、顎の骨が小さくなっていきます。
(左の写真が若い時、右の写真が高齢になった時の骨です。)
(Shaw RB Jr, Katzel EB, Koltz PF, Yaremchuk MJ, Girotto JA, Kahn DM, Langstein HN.
Plast Reconstr Surg. 2011 Jan;127(1):374-83. より引用)
これらの写真から見ておわかりのように、皮膚表面だけで何とかしようとしても難しいのです。
もちろん紫外線対策をして皮膚の弾力を守ることも必要ですが、それだけでは限界があるんですね。
皮膚を引き上げようとして顎をローラーでゴリゴリとこすっても、化粧品をつけた手でぐいぐい上に向かってマッサージしても、くすみが増えるだけで根本的な解決にはなりません。
たるみは機械を使った治療、ヒアルロン酸注入、糸を使って引き上げる治療、手術などがあり、お悩みの場所や症状、顔立ちによって決まってきます。
次のページでは、日常生活で気を付けたいことを見ていきます。

札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
この記事へのコメントはありません。