美肌作りに必須の意外な栄養素と食べ物
美肌を作る栄養素、というと何を思い浮かべますか?
おそらく、ビタミンCと答える方が大半だと思います。
美白のイメージが強いからかもしれませんね。
しかし、ビタミンCだけでは肌の土台を作ることは難しいのです。
美しい肌を作るために絶対に必要な栄養素は、
- たんぱく質 (注:コラーゲンそのものではないです)
- 鉄分
- ビタミンB群(+食物繊維と善玉菌)
です。
もちろん美肌の王道であるビタミンCも必要ですが、他の栄養素もうまく取り入れてお互いの働きを高めあわなければなりません。
それぞれの項目に関してその理由を解説していきますね。
①たんぱく質は肌やホルモン、酵素の原料に
肌の細胞を作っているのはケラチンというたんぱく質です。
肌の生まれ変わりを助けるホルモンや酵素、皮膚の保湿因子やコラーゲンもたんぱく質でできています。
コラーゲン鍋を食べたり、コラーゲン入りの化粧品を使ったりしても、直接コラーゲンになるわけではありません。
食べたものは腸でアミノ酸まで分解されて、作り変えられるからです。
コラーゲンを作るには、たんぱく質と鉄分とビタミンCが必要です。
しかし、肌や髪の毛は命に直結しないので、回ってくる順番は最後なんですよね。
しっかり食べないと肌まで回ってきません。
1食手のひら2枚分が必要だそうです。
植物性だけでなく、動物性のたんぱく質も組み合わせて摂ることが大切です。(卵と豆腐など)
そしてダイエットのためには代謝をあげることが大切ですが、筋肉量を増やさなければいけませんね。
たんぱく質をおろそかにすると、ダイエットもうまく行かなくなります。
②鉄分はコラーゲン合成に必要、シミ予防効果も
特に生理のある年代の女性は、鉄分が慢性的に不足しています。
鉄分を補うには、吸収効率の良い動物由来のヘム鉄を摂ることを意識しましょう。
牛肉などの赤みのお肉やカツオなどの方が、ほうれん草などの非ヘム鉄よりも吸収されやすいです。
鉄分はコラーゲンを作る時に必要な栄養素ですし、シミをできにくくする働きもあります。
妊娠中にシミが濃くなってしまうのは、もちろんホルモンの影響もありますが、赤ちゃんがお腹の中で育つときに鉄分が取られてしまい、お母さんが鉄分不足になってしまうことが関係しています。
③ビタミンB群+食物繊維+善玉菌 …腸と皮膚はリンクしている
たんぱく質の代謝や血糖値の維持にはビタミンB群が必要です。
新しい皮膚が生まれ変わる手助けをしてくれます。
ビタミンB群は豚肉に多く含まれています。
糖分やアルコールを代謝する時にビタミンB群を消費するので、お菓子の食べ過ぎやお酒の飲みすぎに注意しましょう。
ビタミンB群は食べ物で摂るだけでなく腸内細菌によっても作られるため、腸の環境が悪いとビタミンB群が不足してしまいます。
そして便秘はビタミンB群を無駄使いしてしまい、ニキビの原因にもなります。
食物繊維や善玉菌をしっかり摂りましょう。
食物繊維は腸内細菌のエサになるため、ヨーグルトや納豆などでどんなに良い菌を摂ったとしても、食物繊維がなければ菌が定着しづらいです。
海藻・キノコ・根菜類なども一緒に摂りましょう。
小松菜やほうれん草、水菜などの葉野菜にも食物繊維が豊富です。
腸内細菌の改善には長い時間がかかります。
腸内細菌の構成(腸内フローラ)は幼少時から始まるので、お子さんにも大豆製品を食べさせてあげるのが大事ですね。
■美肌にいい献立にする工夫
たんぱく質、鉄分、ビタミンB群を含んでいる食べ物としては、赤身の肉・魚があります。
地域的な問題などから魚をあまり食べないご家庭は、ツナや鰹節・煮干しなどを上手に利用すると良いですね。
悩まずにこれらの栄養素を摂れるメニューとして、私はすき焼きをおすすめしています。
鉄分とビタミンB、タンパク質が豊富な牛肉。
鉄分はほうれん草のような植物性のものより、動物性の方が吸収効率が良いです。
肉も魚も赤身の部分が良いので、霜降り牛を選ぶ必要はありません。
普通の赤身の切り落としで大丈夫です。
卵も良質なタンパク質です。溶いて食べるので、少し残っちゃうかもしれませんが。
植物性たんぱく質と食物繊維は豆腐とキノコ、しらたきでカバーできます。
えのき、しめじ、しいたけ、エリンギなどアレンジは自由です。
野菜は玉ねぎやニンジン、春菊、白菜などお好みで選べますよね。
すき焼きで1番いいなと思うのは、〆のうどんや雑炊。
糖質を最後にできるという大きなメリットがあります。
普通の献立だとお米や麺を最後にするのは難しいですよね。
糖質よりも先に食物繊維を摂ることで、血糖値の上昇を抑えられます。
特別なお祝いごとがなくても、すき焼きをぜひ作ってみて下さいね。
美肌と栄養素の関係について書いてきましたが、いかがでしたか?
「美肌のためにはビタミンC!」「お肉は太るから野菜中心で」と考える女性が多いですが、それでは綺麗になれないのがおわかりいただけたと思います。
毎日の食事、完ぺきにできなくても、知識があればちょっとした工夫ができます。
豆腐とわかめのお味噌汁、ほうれん草と鰹節と海苔など手軽なものを取り入れるといいですよね。
ビタミンCだけに頼らず、体の内側から美肌を作っていきましょう。
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札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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