月の美容費の内訳、美肌のためになっていますか?

1か月に使える美容費には限りがありますので、お金をかけるところと節約するところを決めていますよね。
しかし皮膚科医の視点でみると、多くの方の予算配分・意識の向け方が美肌とはかけ離れたものになっており、非常にもったいないです。
気を付けたい点をまとめましたので、特に乾燥肌・敏感肌の方はチェックしてみて下さいね。
①メイク落としに気を配る
メイク落としは一瞬しか顔に付かないからと無頓着な方が多いです。
値段の安いメイク落とし、特にオイルクレンジングは皮膚の保湿成分を大量に奪ってしまうため、乾燥肌が悪化します。
また、シートタイプの拭き取りメイク落としでゴシゴシ顔をこすることで、顔のくすみが増えてしまいます。
普段は石けんやお湯で落ちる日焼け止め・ファンデーションを使うことで、皮膚の負担を減らせます。
強い日焼け止めは、レジャーや南国への旅行のみにしましょう。
石けんで落ちないものは、オイルクレンジングではなくオイルそのもの(椿油など)で落とすと刺激が少ないです。
②基礎化粧品の数と保湿効果は比例しない
一般的な基礎化粧品の場合、化粧水と乳液では油と水の割合が違うのみということも多く、必ずしもフルラインで使う必要はありません。
化粧水は水分が多く腐りやすいため防腐剤などの添加物が多く、敏感肌の方には刺激が強い場合も。
乳液やクリームタイプだけで保湿できているのなら、それで十分です。
処方箋薬の保湿剤もローションタイプからクリームタイプまでありますが、重ね塗りしましょうという指示はありませんよね?
(医療機関専売化粧品の場合、薬と合わせて使うように設計されているものもありますので指示に従ってください。)
③日焼け止めこそ質の良いものを
日焼け止めを塗り直すとすぐになくなりますよね。
そのため、「安物でいいわ」と値段だけ見て選んでいる方も多いです。
また、SPFは高い方が良いと思い込んでSPF50+の日焼け止めを買ったものの、値段が高かったからと薄くしか塗らずに塗り直しもしない結果、逆に日焼けしてしまったり。
日焼け止めは添加物が多く、肌荒れしやすいアイテムです。
刺激が少なくて質の良いものとなると1本2000円以上するものが多いですが、敏感肌の方は基礎化粧品を1種類減らしてでも日焼け止め選びにこだわりましょう。
今までたくさんの方とお話しして感じることですが、多くの女性は美肌を求めて化粧水・乳液・クリームに気を配り、お金もかけています。
しかし、メイク落としは洗い流すものだから節約しよう、と安くて質の悪いオイルクレンジングで済ませたり…。
日焼け止めは成分や塗り直しのことを考えずに、大は小を兼ねるからととりあえずSPF50+のメイク下地を選び、朝塗ったままで無防備に紫外線に当たっていたり…。
これ、本当に「あるある!」な選び方なんですよね。
しかし、乾燥肌・敏感肌の方は特に紫外線の影響を受けやすいので、普段のスキンケアでは保湿・紫外線対策に気を配るべきです。
保湿というと基礎化粧品をたくさん使えばいいと思われがちですが、自分自身の保湿成分を守るということが一番大切です。
皮膚の保湿成分が大量に奪われた乾燥肌は皮膚のバリアが乱れており、たくさんの基礎化粧品をつけることで肌荒れ・かぶれのリスクが上がります。
基礎化粧品は「正常な皮膚に塗ること」を前提に作られているからです。
質が良い=美容成分・有効成分がたくさん入っている、ではなくいかに肌を傷めないような成分でできているかという視点も大切です。
日焼け止めは塗り直しを前提とするものなので、日焼け止めパウダーや色付き日焼け止め選びにもこだわって選んでいただきたいです。
あなたのお手持ちのアイテムの中でどれを優先するか、今までとは見方を変えるきっかけにして下さいね。

札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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