知らなかったら無防備な肌に!日焼け止めの正しい知識と使い方

■飲む日焼け止めの落とし穴
最近知られてきた飲む日焼け止めですが、塗らなくてもいいわけではありません。
皮膚からの紫外線をブロックするには、塗る日焼け止めが必須です。
飲む日焼け止めは、紫外線を浴びると体内で発生する活性酸素などを取り除く役割をします。
うまく塗り直しができない時に補助的に使うサプリメントという位置づけです。
「飲む日焼け止め」という表現が誤解を生みやすいのですが、注意しましょう。
(アメリカ皮膚科学会からも注意喚起が出されています。)
日焼け止めはたくさんの種類があり、自分に合ったものを使うことが大切です。
日焼け止めを上手に使いこなすことが美肌に繋がります。
最後に、紫外線について大切なことをお伝えします。
■紫外線対策の落とし穴、ビタミンD
一方で、行き過ぎた紫外線対策の問題点も挙げられています。
ビタミンDが不足している女性が非常に多く、骨への影響が心配されています。
女性は閉経前後から女性ホルモンが減少するため、もともと骨粗鬆症を起こしやすいのです。
ビタミンDはコレステロールと紫外線(UVB)を原料に皮膚で作られるのですが、紫外線対策をしていると十分なビタミンDが作られません。
ビタミンDは骨やカルシウムと関連していますし、うつ病や免疫、生殖機能との関係も報告されています。
ビタミンD不足の女性から生まれるお子さんのくる病(骨が曲がるなどの成長障害を引き起こす病気)も増えています。
以前は日照時間の少ない地域にくる病が多かったのですが、美容を意識した女性はお子さんをお散歩に連れて行きたがらないことも原因の1つのようです。
適度に陽に当たることが大切、と言われているのですが、1日に必要なビタミンDを合成するためにはどのくらい紫外線を浴びればいいのでしょうか?
これは、報告によってばらつきがあるのですが、緯度によっても異なることに注意が必要です。
7月の昼間であれば、沖縄・札幌ともに5分程度外で紫外線を浴びれば十分です。
しかし、12月の昼間であれば沖縄で7分、札幌では76分程度の日光浴が必要です。
顔以外が服に覆われている冬の札幌、現実的な数字ではありませんよね。
そして、皮膚でビタミンDを合成するために必要な紫外線の波長は有害なため、過度に紫外線に当たることはやはり望ましくありません。
そのために、食事やサプリメントから意識的に摂取することが必要です。
ビタミンDといえばキノコ類が有名ですが、皮膚で合成されるビタミンD3とは違い、ビタミンD2が豊富です。
ビタミンD3は鮭、マグロ、シラス、サンマなどの魚類に多く含まれています。
ビタミンDは脂溶性(油に溶ける)ので、普通に焼くよりもバターと一緒にソテー・ムニエルにすると吸収されやすいです。
こうした食材がなかなか摂れない方は、サプリメントもオススメです。
ただし、サプリメントを一度に大量に摂り過ぎると体に蓄積しますので(尿に溶けて出ていかない)、決められた量をきちんと守りましょう。
骨は若さを維持するために大切で、骨量を維持することはたるみの予防にも繋がります。
紫外線は悪い面だけではないということも、覚えておいて下さいね。
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札幌市の皮膚科専門医・美容皮膚科医です。2022年7月に札幌市厚別区新札幌にて「さとこ皮膚科・美容クリニック」を開院しました。
私自身が体質的な敏感肌に悩み、普段のスキンケアを見直すことで肌のトラブルを減らせると痛感しています。
忙しい外来では伝えきれないたくさんのことを、記事を通してお届けしたいと思っています。
スキンケアのよくある間違いについて医学的な視点でお伝えしているほか、敷居が高いと思われがちな美容皮膚科治療についても皮膚科専門医として発信していきます。
2006年札幌医科大学卒業
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医/美容皮膚科・レーザー指導専門医
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